7回目となる今回は、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(以下、『攻殻S.A.C.』)シリーズを通してメカニカルデザインを担当している常木志伸氏に、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』(以下、『S.S.S.』)の仕事を終えての感想について伺った。

第7回 メカニカルデザイン 常木志伸氏

PROFILE

名前
つねき・しのぶ
経歴
1月生まれ。スタジオたくらんけ所属。
主な作品『星界の紋章』『小さな巨人ミクロマン』『サイファイハリー』『破壊魔定光』『ココロ図書館』『ボンバーマンジェッターズ』『Get Ride! アムドライバー』『ゾイドジェネシス 』ゲーム 『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』等。『攻殻 S.A.C.』シリーズには欠かせない、メカニカルデザインの一人。
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——今回設定の上で、2ndから二年後っていうのは意識されましたか?

そんなには意識してないですね。
設定的には、僕のやったのは車。車を全般的にデザインしています。
今回は結構スケジュールもあったんで、スケジュールがあるとやっぱり時間めいっぱい使ってデザインを追い込みたいな、みたいな。やっぱ気分として出ちゃうんですよね。時間かけていいものが描けてるかどうかは皆さんに判断していただくしかないんですけど。個人的には車もそうですけど、銃器とかも練り込めたんで嬉しかったです。

銃器類もたくさん設定されたのですか?

今回は素子とかのもやらせていただいたんです。
普段ですと寺岡さんの方なんですけど、今回は僕の方にいってくれて。たまにはメインキャラもやらせてもらえると嬉しいかな。

基本的には9課で使う装備ってのは寺岡さんのところでやることになってたんですよ。だから今回出てくるセブロのちっちゃい拳銃とかは寺岡さんですね。
でもDパート、一番最後のパートに関しては僕の方で装備一式をとりあえず考えるって形になりました。だからこれに装備付けるにはどういうパーツがここに必要かなとか鉄砲も普段はそういうライフル系だと、こうスリングって言って肩から吊るすベルトみたいなのが付いてるんですけど、毎回毎回ベルトっていうのもどうだろうと思いまして。それで最近はなんかそういうワイヤーで吊るみたいな製品が今あるんですよ。現実の世界の物をちょっと取り入れてみたら面白いかなと思いました。

画面にはあんまり出ないので、ものすごくマニアな人じゃないと、それどういう意味なんだろうってわかんないんとは思うんですけど、その辺は解る人が見てもらえればより深く楽しんでもらえるんじゃないかなって勝手に思ってるんです。

『S.S.S.』の制作中に印象に残っているエピソードはありますか?

タチコマを乗せる大きなトレーラーを今回また1から作ったんですけど、前回まで使ってたのが割りと地味めだったんであんまり車としては面白くないライン。まあ元々そういう発注だったんですけどね。今回はちょっと派手めにしてちょっとやや凝った方向でデザインしました。

例えばちっちゃいタチコマ模型があったら、それにあわせてこういうトレーラーを誰か作ってくれないかなーみたいな。模型が好きなんで、こういうの作ってもらえると嬉しいなというのもあってデザインしました。

『S.S.S.』の見所を教えてください。

今回素子がいなくなって、トグサとバトーの立場みたいなのが微妙になったりするじゃないですか。その中での今までと変わりつつあるんだけど変わらないお互いを尊重する機微だとか、後は犯罪関係の方は今までと同じ。同じという訳ではないですが、そんなに大事件起こしてるわけではないです。

やっぱりそういうキャラクタの心情の方が今回メインじゃないですかと思うんですよね。素子に関してもなぜ9課を離れたのかとか。バトーはそれに対してどういうスタンスでいるのか。そういう素子を取り巻く環境ですか、キャラクターの心情を注意して見みると面白いんじゃないかなと思います。 それとメカデザイナーの立場から言うと、最後の戦いの素子の格好を見てねと。一瞬で終わっちゃいますが。

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偽装トレーラーと、草薙のDパートでの装備の設定。細部まで練りこまれているのが分かる。

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ワイヤーで吊るされた装備を確認できるのはこのカット。一瞬なので見逃さないように。