■ AI

船のコンピュータがエイジの母親代わり。

100年以上昔のシステムで、とうぜん量子演算コアを持たない。よってエトス(擬似人格を形成するニューラルマトリクスネットワーク)の実装ができず、旧態依然としたノイマン電脳による思考・対話プログラムのはずだった。しかし、それでは保護・教育者として不十分と考えた黄金の種族によりセントラルコアに細工がほどこされ、最新の人工知能に引けをとらない能力となった。システムを調べようとアルゴーノート・メンバーが内部を空けると、幾層にもなったPCB(プリント基板)が覗いて仰け反る。メイン基盤の中央にAIコア(六角形のCPU。内部で3つのプロセッサが重層し、並列処理を行う、当時としてはかなり高性能なチップ。三重層構造CPUはステッパーを用いた最終世代。性能的限界から立体化を求められていた論理回路は、これ以降、排熱等の問題から、結晶光子回路など、全く異なった方向へ進む)を発見するが、型番やシリアルが刻印されているはずの表面に、何か文字あるいは記号のようなものが印されている。それは黄金の種族による印で、これによってエトスを代替している。

しかし、エイジが少年になった頃にその機能は失われるようにされていた。