第一章「覚醒ノ刻」

〝運命〟が友情を引き裂くとき、古(いにしえ)の巨兵が目を覚ます——

魔力を持たない〝能なし〟ライガット・アローに、クリシュナ国王ホズルからの召喚状が届いた。王都ビノンテンに赴いたライガットに、ホズルは石英採掘場で発掘された推定1000年以上前の古代巨兵(アンダー・ゴゥレム)を見せる。隣国・アテネス連邦がクリシュナに侵攻し、ホズルは厳しい降伏条件を突き付けられていた。それは王妃シギュンを含む国王一族の全員処刑。納得できるはずもないライガット。しかも、そのアテネス軍の前線指揮官は、士官学校時代をホズル・シギュンと共に学んだ親友・ゼスであるという。国境を挟んで相討とうとしている、かつての仲間たち。混乱するライガットの前に、ついにゼスの部隊が姿を現した。襲撃のさなかライガットがアンダー・ゴゥレムに偶然乗り込んだとき、それは突如反応、起動。圧倒的な力で石英を砕き、その姿を現す。彼のみが動かせる巨大な力を手にしたライガットは、戦乱の渦へと容赦なく飲み込まれてゆく…。