作品紹介サーヴィランス 監視者
エド「子守りがヘマをしたようだな。リノが泣いてるぞ」
休息室のテーブルから崩れ落ちそうな程の
大量の孫の写真を、無理やりモーリスに見せていたエドが、泣き出したリノに気づく。
モーリス「クラウディオだけかと思っていたが、スティーブにもなついているようだな、手を繋いで歩いている姿を頻繁に見かける」
エドの孫自慢に辟易した風のモーリスが、写真の山を向こうに押しやりながら答える。
そのときすでにクラウディオに殴り倒され、ニックに喝をいれられていたスティーブの方を気の毒そうに見つつ、
ヒックスはモーリスの手をさりげなく押さえつける。
ヒックス「おい、俺それもう見たぜ、こっちによこすなよ」
モーリス「うるさい」
ヒックス「だから、俺の方によこすなよ」
モーリス「拒否」
もめる2人の手と、
エド「お、見終わったならこっちの写真も見るか？ どうだ？ かわいいだろう」
と、エドがアルバムの山を机の上に積み直す手とがぶつかり合い、かろうじて均衡を保っていた写真の山が雪崩を起す。
ヒックス「あ……」
モーリス「……」
エド「ぎゃぁぁぁぁ！！！！ うちの孫の写真に何さらすんじゃぁぁぁぁ！！！！」
鬼瓦のような顔つきのエドの怒号が響き渡ったその後しばらく、
床を覆い尽くす程の大量の写真を這いつくばって拾い集める暗い顔のヒックスと、
ギリギリと歯軋りを繰り返し、無言で写真を整理整頓分類しなおすモーリスの姿があり、
それを見ながら、
「最近、整理してなかったから、かえって助かったよ、ははははは」
とはエドの弁。